「人と出会うことは、人生でもっとも大切なことです。なぜなら、私たちはそれぞれ、たったひとりの存在だから…」
「出会うことの意味」を問われて、ブラジル・アマゾンの先住民のリーダーのひとり、アユトン・クレナックさんが答えたことば。
何とも含蓄のある言葉で、まさに「森の哲人」と呼ばれるゆえん。
そして、別の問いー。
ー近未来の夢は?
「民族の違いや文化の多様性を認め合う社会の出現です」
ー音楽とは?
「いやしです。薬です。生きものとのコミュニケーションの手段ですし、なにより、生きているあかしです」
文明社会の中にどっぷりつかっている先進国に生きる我々は、とかく自然や宇宙を支配したいと考えがちだが、インディオは自分たちも宇宙の中の一要素と考えるのだという。
これはおそらくアイヌの人たちにも共通する考え方だといえるのではないか。
「私たちは伝統文化を受け継ぐ狩りや漁で生活しています。森や川の恵みを得るシンプルな暮らしですが、それで十分満足です」と、アユトンさん。
はたして、技術の進歩した高度な工業社会が豊かで本当に幸せなのか、考えさせられます。
この世で<たったひとりの存在>である自分を心から慈しみ、神が与えてくれた出会いをこれからも大切にしていきたいもの。
*98年11月、「鳥のように、川のように」(徳間書店)の出版記念のため来日し、講演。
「うけうり日記」(99.2.20)より